卒業論文の書き方

1.研究結果を整理する

論文を書き始める前にしなければならないことは、研究の結果を見える形にすることです。具体的には、研究ノートを読み直して、研究へのInputすなわち研究目的や実験方法を箇条書きやフロー図にまとめなおしてみます。次に研究のOutputであるデーターを表やグラフにしてみます。この段階では、最終的に論文に利用するか否かに係わらず、とにかく全てのデーターを見える形にします。そして、Inputに対するOutputの整合性をチェックします。次にOutputを用いて結果のまとめと考察に入ります。ここでは、見える形にされたデーターを活用します。データーから結論を導くには、一つの事やデーターにとらわれずに全ての事象を広く捉えることが必要です。そして自分のデーターのみでなく、参考文献のデーターとも照らし合わせて考えることが必要です。これらの作業は、研究論文を書く上で非常に重要な作業です。この作業中に新たな発見や疑問が出てくると思いますし、時として追加実験の必要性が出てくることもあると思います。ところで、ここで注意しなければならないことがあります。それは、データーの信頼性です。我々は数表やグラフにまとめられていると、ついそのデーターの裏側をみることを忘れてしまいます。データーの取られた実験系の信頼性や精度は大丈夫であったか、データーの処理方法は妥当であったかを振り返りながら、まとめの作業を行いましょう。

2.投稿規定を理解する。

いよいよ論文を書き始めるのですが、その前に投稿規定を理解しましょう。原稿用紙の体裁、図表の制限、見出し番号の付け方、項立てを頭に入れておくことが必要かと思います。これを守ることは投稿者のマナーですし、数多くの研究論文を査読する編集委員の方々の労力や、修正のために皆様の労力を無駄に費やさないための転ばぬ先の杖でもあります。

3.研究論文の書き方、考え方

前項の作業で、研究内容は整理されていると思います。次に、今回の論文で自分は何を言いたいのかを箇条書きにしてみましょう。ここではこれを「要旨の基」と表現してみます。そしてその要旨を説明するために必要な図、表、写真を先にまとめたデーターより選び出します。それではいよいよ論文を書き始めましょう。1)目次を作る投稿規定に従って、緒言、研究方法、研究結果考察、結論といった大項目を並べます。次に先ほどの「要旨の基」と選び出した図、表、写真を睨みながら小見出しを作成してみます。すると、研究論文の骨格が見えてきます。ワープロで卒業論文を書く事があたり前になっている昨今、皆様の多くはワープロをお使いになっていると思います。皆様は当然されていると思いますが、ワープロで原稿用紙のフォーマットを作成しておき、目次を入れておけば後はその目次に添って文章を書き上げることができます。私の学生時代はまだ手書き原稿の時代でした。修正の度に原稿を最初から書き直すことをしていたので、論文作成にずいぶん時間を費やしていたように思います。使える道具は有効に利用して、時間を効説率良く使いたいものです。

4.研究論文の体裁

(1)論文の題名皆様は、雑誌や論文集を読む時に最初に何処を見ますか。また文献検索でも何を手がかりにしますか。論文の題名は、皆様の成果を読者に読んで貰うために重要なものですから、内容を表す魅力的なものであることが必要です。題名は「要旨の基」を良く見ながら、論文のキーワードが入るように、できるだけ短く書くようにします。

(2)牽引用語「要旨の基」を参考に、本文の内容に関係する用語を数個記載します。

(3)要旨論文の要約を文章にしたものです。研究方法、結果、考察を手短にまとめます。図表を使わないミニ論文であり、本文以上に文章力を必要とします。ここでも「要旨の基」を活用し、これを文章化するようなつもりで書いてみましょう。皆さんも論文を読む時には最初に要旨を読んで、その論文に興味持つことと思います。特に、多忙な人ほど要旨を読んで論文を判断していると言われています。ところで、要旨を最初に書くことは難しいので、通常は、論文を書き上げてから書くことにします。

(4)緒言(はじめに)研究の目的、目標を述べるとともにその歴史的背景、諸先輩の業績を述べます。つまり、この研究を行うために、自分は何をどうしようとしたのか、なぜそのように考えたのか、その背景と根拠は何で、そこに至るまでに自分は何を調べてきたのかといったことを読者に分かりやすく説明するのが緒言の記載内容です。

(5)研究方法試験方法、条件や対象を分かりやすく簡潔に書きます。この時に表やフロー図を使うことも良いかと思います。論文の目的を思い出して下さい。読者が皆様の書いた論文を読んで追試することができますか。常に読者の視点に立って書くことを心がけましょう。

(6)研究結果は簡潔に書くことを心がけます。嘘偽り、勝手なデーターの選択はしないで事実を書くことが必要です。文体は過去形で、文章の終わりは「… … であった。」、「… … でなかった。」、「… …が認められた。」等とします。時々、何が分かって何が分からなかったのか判別できない文章や、結果と考察が混ざった文章を見かけます。ここでは、結果を明確に言い切るスタイルにします。簡潔明瞭な図、表や写真を効果的に使ってデーターを説明することも必要です。時々漫然とグラフを添付している論文を見かけます。ただ単にグラフで表せば良いというものではありません。皆様はデーター集計ソフトウェアのグラフ自動作成機能を利用してグラフを作ることがあると思います。しかし、グラフの持つ意味をよく考えておかないと、本来棒グラフで表現しなければならないところを円グラフで書いてしまうという失敗も生じるかと思います。また、枝葉の図表を入れ全体が分かりにくくなっている事例も良く見かけます。せっかく取ったデーターだから入れようなどと考えてはいけません。読者の視点に立って捨てる勇気を持ちましょう。

(7)考察研究結果から結論に達する過程を書きます。書く内容としては、研究結果を分析してその意義を説明すること、他の研究者の業績との比較・検討が上げられます。考察は論文の要であり、ここが極端に短かかったり、結果の焼き直しや他の論文の単なる引用であってはいけません。ここは著者の能力が問われる部分です。考察を行う時は、実験結果を客観的に捉え、自然界の法則に従い科学的な考えに基づき、それを説明すること、そして広い視野に立ち、他人の業績を謙虚に受け入れた上で自分の考えを明確に述べることが必要であると考えます。

(8)結論緒言で疑問を提起したことに対する回答が結論といえます。記載内容は研究結果と考察のまとめであり、研究の結果として得られた新しい知見の紹介や今回の研究の意義そして今後の課題や発展性についても書きます。結論も考察と共に重要な部分です。結論とは研究の範囲内で言えることです。時に結果の考察から研究条件の範囲外のことも推測できるかもしれません。しかし、結論を述べる時はあまり大胆な推測は避けるべきと考えます。事実からの結論と推測は区別して書くようにしましょう。

(9)参考文献論文に引用した文献を投稿規定の書式に従って書きましょう。通常の研究論文では、10編以上の参考論文を読み、引用しているのではないでしょうか。読者が皆様の論文を読むときの参考にするために引用文献はできるだけ記載すべ解説きと考えます。3.推敲原稿を書き上げたら、原稿の仕上げに入ります。「要旨の要」をもう一度読み直し、その上で原稿を読み直してみます。論旨がずれていないかを確かめて修正します。次に「読者の視点」に立って表現がわかりにくくなっていないかを確かめます。この時、声を出して原稿を読んでみると表現のまずさに気づくことがあります。最後に、修正を加えた原稿を投稿規定に添ってもう一度見直します。ここでは体裁やことば使いを再確認します。それから、共著者、同僚や先生のチェックを受けます。先ほどの自己チェックでは見つからなかったミスや考え方のずれを指摘されると思います。第三者のアドバイスは謙虚に受けましょう。


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