M-GTA・質的分析支援事例M-GTA qualitative analysis support
インタビューデータの確認から、概念・コード整理、サブカテゴリー・カテゴリー化、代表的発言、Excel一覧、結果図までを研究目的に沿って整理する支援事例
順天堂大学の研究者様から、インタビューデータを用いたM-GTA・質的分析と、必要に応じた量的分析・論文作成支援についてご相談をいただいた事例を、個人・研究参加者・研究テーマが特定されない範囲で一般化してご紹介します。
すでにWord上で文字起こしと研究目的に沿った色分けが行われている場合、その作業を確認しながら、分析過程をExcel上で再整理することが可能です。
M-GTA・質的分析支援事例|インタビューデータのコード化・カテゴリー化・結果図作成
事例概要今回のご相談では、Word形式のインタビューデータについて、文字起こしと一次的な色分けがすでに行われていました。そのため、既存作業をゼロからやり直すのではなく、研究目的・研究課題との対応を確認し、概念・コードの整理 → 類似内容の比較・統合 → サブカテゴリー化 → カテゴリー化 → 代表的発言の整理 → Excel一覧化 → カテゴリー間関係の整理という形で分析支援を進める方針を整理しました。
※本記事は支援内容の説明を目的としており、実際の研究参加者情報、インタビュー本文、研究結果、未公表の研究テーマ等は掲載していません。
図1 M-GTAによる分析結果図のレイアウト例。添付いただいたサンプル図を掲載しています。実際の支援案件の研究結果を示すものではなく、テーマ・サブカテゴリー・代表的発言・カテゴリー間の関係性を整理する表現例です。
M-GTA・質的分析とは
M-GTA(Modified Grounded Theory Approach:修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ)は、木下康仁氏が提案した質的研究の方法論です。M-GTA研究会は、M-GTAを、データに密着した分析を重視しながら理論生成を目指すGTAを踏まえて発展した方法論として説明しています。医療・看護・福祉・教育など、人と人との相互作用やプロセスを扱う研究でも用いられています。
方法論の確認には、M-GTA研究会「M-GTAとは」や、木下康仁氏による「質的研究法としてのグラウンデッド・セオリー・アプローチ―その特性と分析技法―」など、一次的・学術的な資料を参照し、研究計画で採用している方法論との整合を確認することが重要です。
方法論上の注意実務上は「コード化」「サブカテゴリー化」「カテゴリー化」という言葉を用いることがありますが、M-GTAを単純な一般的コーディングと同一視しないことが重要です。木下氏の分析技法では、分析テーマ、分析焦点者、概念生成、カテゴリー生成、理論的メモ、結果図・ストーリーライン等が基本的な作業項目として示されています。したがって、支援時には研究者が採用するM-GTAの手順・記述方法に合わせて分析過程を整理します。
今回のご相談で前提となったデータの状態
Wordで文字起こし済みインタビュー音声からの文字起こしはすでにWord上で完了しているため、主な作業対象は「分析のための整理」に移ります。
研究目的に沿った色分け済み研究者ご自身で重要箇所の色分けが行われているため、その判断根拠を確認しつつ、研究目的・研究課題との対応を点検します。色分け結果をそのまま最終分類とするのではなく、分析上必要な比較・再整理を行います。
Excelで分析過程を可視化コード・概念、サブカテゴリー、カテゴリー、代表的発言などを一覧化することで、どのデータからどの分析結果が導かれたのかを追いやすい形に整理します。
M-GTA・質的分析支援の作業フロー
| 工程 | 主な作業 | 整理する内容 |
|---|---|---|
| 1. インタビューデータ確認 | Word文字起こし、話者表記、既存の色分け等を確認 | 分析対象となるデータの状態を把握します。 |
| 2. 既存の色分け内容の確認・整理 | 研究目的・研究課題との対応を確認 | 既存の判断を尊重しつつ、分類基準のずれや重複を整理します。 |
| 3. 概念・コードの整理 | 研究上意味のある発言やまとまりを比較し、名称を検討 | 発言内容と分析上の意味が追える形に整理します。 |
| 4. 類似内容の比較・統合 | 近い内容を比較し、必要に応じて統合・分離 | 似ている点と異なる点を確認しながら分類の粒度を調整します。 |
| 5. サブカテゴリー化 | 複数の概念・コードのまとまりを整理 | 下位レベルの分析まとまりを形成します。 |
| 6. カテゴリー化 | サブカテゴリー間の共通性・関係を整理 | 研究目的に関係する上位の分析まとまりを形成します。 |
| 7. 階層構造の整理 | コード/概念―サブカテゴリー―カテゴリーの対応を一覧化 | 分析結果の構造を追跡しやすくします。 |
| 8. 代表的発言・具体例の整理 | 各分析項目に対応する発言例を配置 | 分析結果と元データとの対応を確認できるようにします。 |
| 9. Excel一覧表作成 | 分析結果を表形式に整理 | 修正・比較・指導時の確認がしやすい形式にします。 |
| 10. カテゴリー間の関係性整理 | カテゴリー同士のつながり、順序、相互作用等を検討 | 結果図・ストーリーラインの検討材料を整理します。 |
| 11. 分析結果の説明・補足 | 整理方針、読み方、留意点を簡潔に説明 | 研究者が分析結果を論文へ反映できるよう補足します。 |
Excelでは「元データからカテゴリーまで」を追える形にする
質的分析では、最終的なカテゴリー名だけが並んでいても、どの発言をどのように解釈してそのカテゴリーに至ったのかが確認できなければ、分析過程を説明しにくくなります。そこで、Excelでは必要に応じて、発言ID、匿名化した代表発言、概念・コード名、サブカテゴリー、カテゴリー、メモ等を列として整理し、分析のつながりを確認できる形にします。
| 項目 | 役割 | 留意点 |
|---|---|---|
| 発言ID | 元データとの対応確認 | 個人名ではなく研究上の匿名IDを用います。 |
| 代表的発言 | 分析根拠となる具体例 | 必要な文脈を保ちつつ、個人が特定される情報は扱いに注意します。 |
| 概念・コード | 発言の分析上の意味を表現 | 研究目的と対応する名称になっているかを確認します。 |
| サブカテゴリー | 近い概念・コードのまとまり | 単なる似た言葉の集合にならないよう意味関係を確認します。 |
| カテゴリー | より上位の分析まとまり | 研究課題への説明力と下位項目との整合を確認します。 |
| 分析メモ | 比較・統合・解釈の記録 | 採用したM-GTAの手順に応じて記録方法を調整します。 |
結果図ではカテゴリー間の「関係」を可視化する
M-GTAの結果図は、カテゴリーを単に箱で並べるだけではなく、分析で得られた関係性を視覚的に整理するために用いられます。今回添付いただいたサンプル図では、複数のテーマ、各テーマ内のサブカテゴリー、代表的発言、テーマ間の相互関係、さらに中核カテゴリーと結果カテゴリーが一枚の図にまとめられています。
ただし、結果図の構造は研究データから導かれるものであり、サンプル図の配置やカテゴリー数を別の研究へ機械的に当てはめるものではありません。実際の作成では、概念・カテゴリーの関係がデータと分析過程によって説明できるかを確認します。
質的分析・量的分析・論文作成支援を分けて設計する
今回のご相談では、M-GTA・質的分析だけでなく、量的分析および論文作成支援も支援候補に含まれています。ただし、質的分析と量的分析は、研究目的やデータの種類が異なれば必要な手順も異なります。そのため、「質的分析の結果が出たから特定の統計手法を行う」と機械的に決めるのではなく、研究仮説、変数、尺度水準、サンプルサイズ、調査設計などを確認して個別に設計します。
論文作成支援についても、研究者本人の研究目的・解釈を前提に、Methodsで分析手順をどう記述するか、Resultsでカテゴリーや代表的発言をどう提示するか、Discussionで既存研究とどこまで比較できるかを整理します。未確認の事実や、データから裏付けられない結論を補って記述することはしません。
質的分析支援で重視する確認ポイント
研究目的との整合色分けやカテゴリーが、研究目的・研究課題に対してどのような意味を持つのかを確認します。
元データとの対応分析結果だけでなく、代表的発言やIDとの対応を保ち、どのデータから解釈したのかを追えるようにします。
分析過程の透明性統合・分離・名称変更等の判断が後から確認できるよう、Excelや分析メモで整理します。
匿名化・研究倫理研究参加者を特定し得る情報は、研究計画・倫理審査・所属機関のルールに従って取り扱います。本記事でも個別の研究内容は掲載していません。
アイブックス学術代行で対応するM-GTA・質的分析支援
既存データを生かした再整理文字起こしや色分けがすでにある場合、その内容を確認し、研究目的との対応を点検しながら分析表へつなげます。
コード・概念からカテゴリーまでの一覧化Excel上で、発言、概念・コード、サブカテゴリー、カテゴリーの対応を整理し、研究者が確認・修正しやすい形にします。
結果図・関係性の整理カテゴリー間の関係を検討し、結果図や論文の結果記述につながる形で整理します。実際の図の内容は分析データに基づいて作成します。
量的分析・論文作成との接続別途量的データがある場合の統計解析や、質的分析結果を論文へ反映するための構成・記述支援も、資料を確認して作業範囲を整理します。
よくある質問
Q.Wordで文字起こし・色分け済みでも依頼できますか?
はい。既存の文字起こしと色分けを確認し、研究目的・研究課題との対応を点検したうえで、概念・コードの整理、サブカテゴリー・カテゴリー化、代表的発言、Excel一覧化などへつなげます。
Q.M-GTAはコードをまとめてカテゴリーにするだけですか?
いいえ。M-GTAは一般的なコーディングと同一ではありません。研究テーマ、分析テーマ、分析焦点者、概念生成、カテゴリー生成、理論的メモ、結果図・ストーリーラインなど、採用している方法論の手順との整合を確認する必要があります。
Q.代表的な発言も整理できますか?
はい。各概念・コードやカテゴリーとの対応が分かるよう代表的発言・具体例を整理できます。研究倫理と匿名化方針に従い、個人が特定されない形で扱います。
Q.量的分析や論文作成支援も相談できますか?
はい。研究目的と資料の状況に応じて範囲を整理できます。量的分析の具体的手法は、変数、尺度水準、サンプルサイズ、研究仮説等を確認したうえで決定します。
参考文献・方法論資料
・木下康仁(2001)「質的研究法としてのグラウンデッド・セオリー・アプローチ―その特性と分析技法―」『コミュニティ心理学研究』5(1), 49-69. J-STAGE
・木下康仁(2007)「修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)の分析技法」『富山大学看護学会誌』6(2), 1-10.
・M-GTA研究会(実践的グランデッド・セオリー・アプローチ研究会)/M-GTAとは
まとめM-GTA・質的分析支援では、最終的なカテゴリー表だけを作るのではなく、「研究目的 → 元データ → 概念・コード → サブカテゴリー → カテゴリー → カテゴリー間の関係」を確認できるように整理することが重要です。すでにWordで文字起こし・色分けが行われている場合も、その作業を生かしつつ、研究方法に沿った分析過程へつなげることができます。
ハッシュタグ
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注記:本記事は実際のご相談内容をもとに、個人・研究参加者・未公表の研究内容が特定されない範囲で一般化して作成しています。M-GTAの具体的な分析手順は、研究計画、指導方針、採用する文献・方法論に合わせて確認してください。
関連情報:M-GTA分析支援
関連情報:卒業論文・修士論文の研究支援
関連情報:統計解析・量的分析支援
お問い合わせ
M-GTA・質的分析をご相談の場合は、研究目的・研究課題、対象者数、文字起こしデータの形式、現在までに行った色分けや分析の状況、ご希望の成果物をお知らせください。資料を確認したうえで、必要な作業範囲、納期、費用をご案内します。量的分析や論文作成支援を併せてご希望の場合も、現在の研究計画に沿って整理します。
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